パスモのサービス開始、ナナコも今年中にサービスを開始するとあって、電子マネー・ポイントが非常に熱いです。
そんな中、出版される新しいお金 電子マネー・ポイント・仮想通貨の大混戦が始まる、さっそく購入して読みました。
各種の「電子マネー」「ポイント」「基軸通貨」「地域通貨」をまとめた、新書らしい非常にわかりやすい本です。
セカンドライフのリンデンドルの話にまで言及しているところは、筆者の知識の広さを感じます。
このような本を読んでいると、どんどん「お金」が「お金」ではなくなく、何か別のものになってしまったような感覚を感じずにはいられません。
さて、筆者の高野 雅晴氏は、「新しいお金」を具現化するEcoCa(プロジェクト)を推進中とのことです。
企業からすれば、「新しいお金」の発行元になれば、この以上の利益はありません。
セカンドライフを運営するリンデンラボは、やがてすべてのコードをオープンソース化し、タダの場所(システムもしくはサーバー)を提供するだけの会社になり、その上で、リンデンドルの管理をすることが最終ゴールのはずです。
なぜなら、リンデンドルを発行することが、すなわち「お金」を発行することと同義になるからです。
マイレージやポイントにしても同じことで、そのポイントが流通すればするほど、胴元が力を持ち、儲かるということです。
土俵に乗る人間はひとりでも多いほうがいいのですから。
さて、本書の後半では、ミヒャエル・エンデを引用し、新しい通貨のあり方を筆者は提案しています。
ミヒャエル・エンデは、『エンデの遺言―「根源からお金を問うこと」』の中で、パンを買うお金と、株式投資に用いられるお金は違うと提言しています。
そして、現在の環境問題、貧困問題は、この違いに起因するものであると警告を鳴らします。
筆者の高野氏は、この文章を受け、電子マネーにこの解決を託します。
電子マネーやポイント、仮想通貨の交換システムが持続可能な社会の構築を促すエンジンとして回り始める可能性もあると信じたい。(P175より引用)
ボク個人の感想としては、そこまでの理想や思想を電子マネーに持ち込むことに、違和感を感じてしまいます。
あくまでお金はお金であり、電子マネーは電子マネー、ポイントはポイント、マイルはマイルにすぎないと思ってしまうわけです。
最後に、本書の「はじめに」で紹介されていた、マリオのコインで買い物をする男の映像を載せておきますね。(ネタバレになるので、読み終わってから映像はみてください)
■ 出版社 / 著者からの内容紹介
SuicaとPASMOの相互乗り入れにより、首都圏経済の電子マネー化は大きく進んだ。「セカンドライフ」の登場で仮想空間のお金も現金化されはじめ、お金のあり方は日々変わっている。境目がなくなる「お金」の現状と未来が、『新しいお金』で見えてくる。
■ 出版社からのコメント
電子マネーEdy、Suicaの急速な普及により、世の中から現金が姿
を消し始めた。そしてSuicaとPASMOの相互乗り入れにより、首都圏経済の電子マ
ネー化はさらに進む。航空会社のマイレージやビックカメラのポイントも電子マ
ネーにチャージされるようになった上、ついにゲームの中のお金まで現実世界で
価値を持ち始めた! デジタル化により、日々境目がなくなる「新しいお金」界
の未来を示す。
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